パリの下町 Belle Ville(ベル ヴィル) を歩いていたら、路地にグラフィティ
(落書き)があった。
よく見るとMatoub Lounes(マトゥーブ ルネス) の似顔絵も描かれている。
この人を初めて知ったのは10年以上前、パリのモンマルトルにあるアルジェリア人
のカフェだった。この店は毎週、金曜と土曜の晩にクスクスが無料で食べられたので
友人と連れ立って時々行っていた。
その店の壁にたった一枚男の人の写真が貼ってあり、それが彼だった。
当時はこの人が誰か分からず「フォトジェニックな人だなあ…」と思っていたが
この人はアルジェリアのカビリア地方出身の歌手で、イスラム原理主議者、アルジェリア
政府のアラブ化政策に抵抗していて、98年に暗殺されたことは後で知った。
彼はカビリー人のヒーローというか、精神的な支えの人なのだった。
パリの街のレストランの壁や移民の街の路地なんかで、こういう人を見つけることは時々ある。
チベット料理のレストランではダライ ラマの写真を見かけるし、セネガル人がやっている
食堂ではイスラム教の聖者の写真が壁に何気なく貼ってある。
華やかなパリの一画でこんな人たちに出会えるのもコスモポリタンなパリの魅力だと思う。
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