何年振りかにフランスのアルザス地方を旅した。
アルザスを旅していると必ずといっていいほど見かけるのが Hansi (アンシ)の絵だ。
彼の描いた黒い大きなリボンをして長いスカートをはいた女の子は食器やビスケット
の缶に描かれていて、それが見るものすべてかわいくて、全部欲しくなってしまう。
ストラスブールの土産物屋のおばさんが「日本人はホントにアンシが好きね」と言って
いたけど、何か彼の絵には日本人の琴線に触れるものがあるのかもしれない。
彼は1873年 コルマールの生まれ。アルザスの普通の日常を描いた画家だ。
女の子が台所でビスケットを作っていたり、子供たちが雪の降った村をサボをはいて
歩いて行く。
そして家の中では、お母さんが子供に民族衣装の大きな黒いリボン結っている。
そんな何気ない絵の風景が郷愁をさそって、20世紀初頭のアルザスがよき時代に思えてくる。
この頃アルザスはドイツ領だったり、第一次大戦でドイツが敗北するとフランス領になったり
大変な時代だった。
戦争ごっこをしている子供たちの絵もある。
でもアンシの絵の中の人たちはいつも穏やかで、絵の中では淡々としたアルザスの日常が描か
れている。
「私もこの頃のアルザスの人になって、こんな日常を過ごしてみたい」そんな気持ちを起こ
させる風景ばかりなのだ。
Hunawihr というワイン街道の小さな村を歩いていた時、人通りのない村の坂道からアルザス
の衣装を着たアンシの絵の女の子がほんとに歩いてきそうだった。
この辺りのアルザスの景観はあの頃と殆ど変わっていない。
ア
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