モロッコ雑記

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海外に行き、生活習慣やものの考え方が違う人たちと接した時、

その時の反応で自分という人間が見えてくるような気がする。

ある日マラケシュのメディナ(旧市街)を歩いていると骨董屋の店先で

猫に遭遇した。

カメラを取り出して撮影していたら主人が出てきて自分が世話をしている

のだという。

猫の話から商いの話に移るのに大した時間はかからなかった。

「何か買わないか?」

「いいブレスレットがあればね」

品物を見せてもらい値段を聞くと法外な金額だ。適当にはぐらかして猫を撮り

続けていると、段々とブレスレットの値が下がってきた。でも本気で買い物を

する気のない私は相変わらずいい加減。

そのうちこのオヤジさんは「ほうら、いいものを見せてあげよう」と布で覆わ

れていた台の下からダンボールを取り出した。

その中には生まれて間もない子猫が数匹いてお母さんのオッパイを飲んでる。


「かわいい!玉手箱みたい」撮影に拍車がかかる。

「おまえブレスレットを買うのか、買わないのか?買うなら100ディラハムに

負けてあげよう!」

もうすっかり面倒臭くなった私は一言「買わない」

「買わないなら猫のエサを買え!」

オヤジさんはそう言い放つと私を近所の雑貨屋に連れて行き、猫の缶詰を私に

買わせてさっさと帰っていった。

オヤジさんの態度と剣幕にちょっとびっくりしたけど、考えてみれば玉手箱 

まで見せてもらい写真も撮らせてもらったのに何も買わなかった私も悪い。

でも最初に何倍もの値を吹っかけ られるとちょっと購買意欲が萎えてしま

うのも事実。しかし商談 はそこから始まるのだ。

本当に欲しいものをだけを買うのもいいけど、時には店のオヤジさんたちと

会話を楽しみ、適当なものを納得する金額に値切って買ってもよかった。

そんな余裕が自分にあればあのオヤジさんも怒らなかったのに….

「無償の親切」というものもこの世の中にはあるけど、人がしてくれた行為

には対価を払うのが当然なのだと思う。

日本にいると人様の親切に慣れていて甘えることも多い私はこ うやって

外国を旅していろんなことに気づくことが多い。

今度マラケシュに行ったらあの店に行って何か買おう。でも迷路が続くあ

のメディナの店にもう一度たどり着けるかどうか分からないけど…..




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